「健康寿命を延ばして元気に100歳を迎えましょう。」
寝たきり(要介護5)の原因の3人に1人は脳血管疾患であり、認知症、心臓病がこれに続きます。これらを予防するためには血圧管理が大切となってきます。
高血圧治療ガイドライン(2019)において、高血圧の基準は、
病院や健診で測定した血圧:140/90㎜Hg以上 家庭血圧:135/85㎜Hg以上となっています。
高血圧有病者は4300万人(2017年推定数)であり、未治療者(認知あり)は450万人で、10人に1人は高血圧だと知っているけれど治療を受けていない状況です。血圧値別にみた疾患発症率をみると、高齢者でも140/90mmHgを超えると脳卒中や心筋梗塞が増えます。よって、降圧目標は75歳未満の成人の診察室血圧<130/80mmHg 家庭血圧<125/75mmHg、75歳以上の高齢者の診察室血圧<140/90mmHg 家庭血圧<135/85mmHgとなっています。
土橋先生が係わっている「いきなり寝たきり」防止プロジェクト<高血圧ゼロのまちを目指して>の報告から、北九州市国民健康保険加入者及び後期高齢者医療加入者304,875人を対象として、いきなり寝たきりになった者(361人)にかかる費用は約18億円の増額だったことが分かり、寝たきりとなった原因が脳出血10%、脳梗塞25.8%であり、高血圧の治療をしていた者は脳出血61.1%、脳梗塞は59.1%であったとのことでした。
ここで、高血圧を予防することの大切さがわかりますが、どうして高血圧になるのでしょう?
高血圧には、遺伝的要因(両親、兄弟、姉妹に高血圧がある)と環境要因(食塩の取りすぎ・肥満・運動不足・飲酒、喫煙・ストレス・・)があり、遺伝的要因は変えられませんが、環境的要因は変えることができると考えられます。このことから生活習慣の修正項目が示されました。まず食塩制限(6g/日未満 高血圧治療ガイドライン)があげられています。
令和6年度から開始される健康日本21(第3次)においても食塩摂取量の減少があげられており、日本の栄養・食生活と健康に関する課題にも、若年女性のやせ、経済格差に伴う栄養格差と並んで、食塩の過剰摂取があげられています。
若年女性のやせは低出生体重児の原因となることと、赤ちゃんの出生時体重と成人期の糖尿病、心血管病、高血圧発症リスクとの関係が明らかにされています。3.5~4㎏でうまれた児がこれらにり患するリスクが低くなっています。幼児期、学童期の調査においても毎日おやつにスナック菓子などを食べている群と果物を食べている群では、尿中Na濃度とK濃度に明らかな違いが出たり、親の食塩摂取量が多ければ子どもも多くなったりしています。
減塩に関しては、気にしていると言いながら実際はできていないことも多く、このことから塩分チェックシート(塩分摂取習慣13項目)を利用して気づきを生み出すことが必要となります。
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