公衆衛生(第1回中央研修会)終了報告

開催趣旨・目的

第1回中央研修会
成長曲線の意味と子どもの発育評価についての理解を深め、乳幼児期から思春期までの子どもの健康管理と生活習慣の改善に向けた支援に活用することを目的に県民の健康増進に貢献する栄養士・管理栄養士を育成する。

開催日時

2023年6月11日(日)
午後2時00分から午後4時00分まで
(受付:午後1時30分から1時50分)
※ZOOMミーティングによるWEB開催

内 容

講演 「成長曲線の見方と生活指導への活かし方」
講師 女子栄養大学
         客員教授 発育研究者 小林 正子 氏

*生涯教育実務研修1単位になります。
*下記チラシ参照
2023年度 第1回中央研修会 チラシのサムネイル

対象および定員

千葉県栄養士会会員で、上記内容に関心のある管理栄養士・栄養士
100名程度
千葉県栄養士会会員外 若干名

参 加 費

千葉県栄養士会会員  無料
千葉県栄養士会会員外 1500円

参加申込先

2023年度千葉県栄養士会公衆衛生事業部第1回中央研修会申込書に記入の上、下記あてメールにてお申込みください。
千葉県野田市 健康子ども部 保健センター
       担当 張替
メールアドレス hokesen@mail.city.noda.chiba.jp
電話 04-7125-1190
申込期限 2023年5月11日(木)

事業報告
事業名

「成長曲線の見方と生活指導への活かし方」
 講師 女子栄養大学 客員教授 発育研究者 小林正子 氏

参加者数

100人(会員94人,非会員6人)【ZoomによるWEB開催】

内 容

 成長曲線は、①パーセンタイル値を用いたもの、②平均値からの隔たりを基準線として用いたもの(平均値±SD)がある。①は母子健康手帳や学校保健分野で、②は医療現場で低身長の診断等に用いられる。
 文部科学省により、学校では「身長・体重成長曲線の作成」が推奨されている。身長・体重を測るだけでなく、グラフにして「可視化する」ことは児童生徒の健康を守るうえで非常に役立ち、健康に発達していることの確認や、異常の早期発見につながる。
 成長曲線を読むときのポイントは、基準線にだいたい沿うように発育しているか、身長と体重のバランスはよいかを確認することである。成長曲線は疾患や精神的不安の影響を受けて変動する傾向がある。体重の大きな変動、身長の停滞、学童期低学年での急な増加などがある場合は、個人をよく観察し、必要があれば受診を勧めるなど、個々に対応する必要がある。
 発育のリズムには、規則的なリズムとして①日内変動、②週内変動、③季節変動があり、不規則な変動として生活習慣の乱れや精神不安がある。身長は1日で約2㎝変動し、起床後が最も高く、徐々に低くなり4~5時間後に安定する。子どもの身長・体重は共に1週間単位の社会生活の影響により、週末と週半ばに増える傾向がある。また、季節変動としては、身長は春夏に増加することが多く、体重は、秋冬に増加する。夏に体重増加が見られる場合は、肥満の引き金になる。肥満は3歳以前から始まっており、乳幼児期からの生活習慣が、生涯の健康に影響を及ぼすと考えられる。
 身長が伸びている時期は、骨が弱くなっているため、骨に負荷がかかる過度なウエイトトレーニングは控える。発達には「至適時」があり、力強さを獲得する時期は、身長が最大発育期を過ぎた後である。最も効果の上がる時期に適切な働きかけを行うことが重要である。
 日本の子どもの体格の推移について、身長は2000年に入ってから最高値は出ていない。一方で座高は近年も全国的に伸びており、身長に占める下肢長の割合は減少している。夜間のスマートフォン等の使用が睡眠へ影響を及ぼし、成長ホルモンの分泌不足などが生じている可能性がある。
 子どもの心身の健康を見守る手段の一つとして成長曲線を活用し、発育状況を一貫して見ていくことが大切である。

感 想

 先生のご講演は、成長曲線の具体例を示しながら、発達・成長の様子をわかりやすく説明していただき、大変勉強になる内容でした。
 事例から、生活環境や疾患、精神状態が食事や生活習慣に及ぼす影響は、成長曲線に顕著に表れることが分かりました。目に見える形として表すことで、子どもの健康状態が見えてくることから、成長曲線を記録していくことが大切であると感じました。また、発育するリズムや、発達の至適時についても学ぶことができました。
 今回のご講演は、多くの学びがあり、大変有意義な研修となりました。今後の栄養指導に活かしていくとともに、成長曲線として子どもの発育を記録する大切さも伝えていきたいと思います。

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