痛風の予防と食事

基本的な事柄

 経済の成長に伴い食生活が豊かになり、エネルギ-の過剰摂取や運動不足などにより痛風の発症が多くなってきました。

   食生活をはじめとする生活習慣の変化がもたらした生活習慣病の一つです。痛風は多量の尿酸が体内に溜まって、これが主に、足の指の関節などに結晶化して起こる病気です。症状としてはある日突然、激しい痛みにおそわれます。痛みは1~2週間で治まりますが、発作が治まったあとも、高尿酸血症状態が続いていると、腎臓病などの合併症に進行する場合があるので、正しく治療を行うことが大切です。

   高尿酸血症の原因はプリン体を多く含む食品(表を参考)の食べ過ぎにより、体内で尿酸を過剰生産する場合や、腎臓機能に障害があって尿酸が排泄できないため尿酸濃度が高くなる場合などがあります。近年ではエネルギ-の取り過ぎや運動不足で肥満になり、尿酸の量が増えるケ-スが目立ってきました。
   また、尿酸を増やすほかの原因としては、ストレスや激しい運動などもあります。30~50歳代の働き盛りの男性に多くみられますが、最近では、10代の若年者にも発症例が見られるといわれています。

   食生活の面からみると、毎日2回以上の間食をしている人、毎日3合以上のアルコ-ルを飲んでいる人、肥満をしている人などに特にその傾向が高いといわれています。痛風の予防に当たっては、まず肥満しないように注意します。成長・発育の終わる20才ごろの体重を目安に、食べ過ぎやお酒の飲み過ぎに気をつけ、適度の運動を心掛け肥満を防いで痛風を予防しましょう。

食生活のポイント

予防するための食事

  1. 1日3食、腹八分目を守って、食べ過ぎを避ける
  2. エネルギ-を多く含む食品や料理は控えめにする
  3. 油を多く使用した料理や和・洋菓子、アルコ-ル飲料などは取り過ぎない
  4. 好きなものばかりを続けて食べない
  5. アルコ-ル飲料は、飲まない日をつくり、飲み過ぎない

痛風・高尿酸血症と診断された時の食事

  1. 動物の内臓を控える。肉や魚を食べ過ぎない
    肉や魚などの量が多い高たんぱく質の食事は、プリン体も多く摂取することになります
  2. 油を多く使用する料理は、回数を減らし、少なめにする
    油の多い食品はエネルギーが高く、肥満を招きます。
  3. 野菜や海藻を十分に食べる
    野菜や海藻は尿をアルカリ性にし、尿酸の排泄を促します。サラダや煮物やお浸しなど、いろいろな調理法を取り入れ、十分に食べましょう。
  4. アルコ-ル飲料は禁止にするか、程々に飲む
    ビ-ルはプリン体が多いので控えましょう。アルコ-ル自体が尿酸値を上昇させるため、禁酒がベストですが、難しい場合は休肝日を設けたり、量を減らしたりしましょう。
  5. 水やお茶を多く飲む
    水分を多く取ることにより、尿量を多くして、尿酸の排泄を促します。ただし甘い飲み物は尿酸値を上昇させるので控えましょう。
  6. 薄味を心掛け、塩分を控えめにする

    食品中のプリン体含有量(100gあたり)

    極めて多い(300mg~) 鶏レバー、干物(マイワシ)、白子(イサキ、ふぐ、たら)、あんこう(肝酒蒸し)、太刀魚、健康食品(DNA、RNA、ビール酵母、クロレラ、スピルリナ、ローラルゼリー)など
    多い(200~300mg) 豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正えび、オキアミ、干物(マアジ、サンマ)など
    中程度(100~200mg) 肉(豚、牛、鶏)類の多くの部位や魚類など、ほうれん草(芽)、ブロッコリースプラウト
    少ない(50~100mg) 肉類の一部(豚、牛、羊)、魚類の一部、加工肉類など、ほうれん草(葉)、カリフラワー
    極めて少ない(~50mg) 野菜類全般、米などの穀類、卵(鶏、うずら)、乳製品、豆類、きのこ類、豆腐、きのこ類、豆腐、加工食品など

    参考:2019年改訂 高尿酸血症・痛風のガイドライン 第3版
    ※含有量の多い食品(200mg以上の食品)はなるべく避けましょう。
                                     (更新 2023
    .12)

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