鉄欠乏性貧血の予防と食事

基本的な事柄

   貧血は血液をつくる栄養素の不足によって起こる病気の一つです。血液の中の赤血球の大きさが基準より小さい場合の貧血を鉄欠乏性貧血(小球性貧血)といいます。原因は、鉄の摂取量が足りなくヘモグロビン(血色素)が十分につくられないために赤血球の大きさが小さくなってしまいます。ヘモグロビンが少ないために酸素を運搬する力が弱まり、顔色が悪くなったり、動悸(どうき)や息切れ、めまい、頭痛、疲れやすいなどの自覚症状が現れてきます。貧血という病気は原因によっていろいろな種類がありますが、最も多いのは鉄分が欠乏して起こる鉄欠乏性貧血です。

鉄が欠乏する原因

①鉄分の摂取量が不足しているとき(偏食、朝食ぬき、極端な節食が続いているなど)
鉄分の必要量が増加しているとき(成長が著しい思春期、妊娠、出産、授乳期など)
栄養のバランスが悪いとき(造血に必要な栄養素(たんぱく質、鉄、造血ビタミンのB、B12、葉酸)が不足していたり、鉄の吸収をよくするビタミンCなどの不足)
大出血や慢性出血により鉄分の喪失が著しいとき(胃潰瘍や十二指腸潰瘍、痔などの出血、月経過多など)

鉄の推奨量

   鉄分の推奨量は、成人女子で1日(月経なし)6.0~6.5ミリグラム、(月経あり)10.5~11.0ミリグラム、成人男子で7.0~7.5ミリグラムです。また、妊娠中や授乳中は鉄の必要量が増加します。

食生活のポイント

   鉄は吸収率の低い栄養素です。鉄欠乏性貧血を予防するためには、毎日の食事から鉄分が不足しないよう十分に取ることが必要です。特に、鉄の必要量が増加する時期は不足しやすくなるので気を付けましょう。

  1. 食事は栄養のバランスを考え、毎日3食をきちんと食べる
  2. 鉄分を多く含む食品を十分に取る
    鉄分はレバ-や赤身の肉類、あさり、かき、血合いの多い魚、大豆製品、緑黄色野菜、海藻などに多く含まれています。特に、ヘム鉄の多いレバーや血合い肉は有効です。
  3. たんぱく質を十分に取る
    魚、肉、卵、大豆製品、乳製品などのたんぱく質を多く含む食品を使った料理を毎食バランス良く食べるように心掛けましょう。
  4. 鉄の吸収利用を良くする
    ①酢、柑橘類、梅干しなど酸味のあるものや香辛料を使って胃液の分泌を良くする。
    ②ビタミンCの多い野菜、いも、果物などと一緒に取って吸収を促進させる。 
    ③造血成分といわれるビタミンB12(レバ-、魚の血合い、納豆など)、葉酸(緑黄色野菜など)ビタミンB6(いわし、かれい、卵黄など)、銅(貝類、レバ-、ごまなど)などと一緒に取る。
  5. 食事中の緑茶や紅茶、コ-ヒ-などは控える
    これらに多く含まれるタンニンが鉄と結合して鉄の吸収を悪くします。
  6. 料理は手作りを心掛ける
    インスタント食品や調理済み食品、出前の料理などは使用されている材料が分かりにくいだけでなく、栄養のバランスの偏りが生じやすくなります。

   貧血の予防は、今日、鉄分を多く取ったから明日は少なくてよいというものではありません。いろいろな種類の食品を毎日食べる食習慣が鉄分不足を解消するポイントです。また、貧血は重大な病気の原因になることもあります。疲れやすい、めまい、立ちくらみ、息切れや動悸がするなどの自覚症状を感じたときは、早めに医師の診断を受けるようにしましょう。