心臓病の予防と食事

基本的な事柄

   現在、日本人の死亡原因の第 1位は「がん」ですが、1985年(昭和60年)以降、「心臓病」は「脳血管疾患」を抜いて第2位になっています。これは、食生活の欧米化、肥満、運動不足、精神的ストレス、喫煙など心臓に負担のかかる原因が増えているからといわれています。

   心臓病にもいろいろな種類がありますが、なかでも今、一番問題になっているのが虚血性心疾患です。これは、心臓を養っている冠状動脈に血液の供給が低下することによって起こる病気で、狭心症と心筋梗塞の 2つがあります。

   狭心症は、冠状動脈が動脈硬化のために狭くなり、心臓への血液供給量が減少し酸素不足により一時的に痛みを起こす場合です。心筋梗塞は血管が完全につまってしまい、それより先の血流がなくなり、心臓の筋肉が壞死してしまう場合です。

   これら虚血性心疾患の原因となる動脈硬化の危険因子としては、高血圧、②脂質異常症(高中性脂肪血症・低HDLコレステロール血症もしくは髙LDLコレステロール血症など)、③耐糖能異常、④喫煙などがあげられます。心臓病の予防にあたっては、これらの危険因子を取り除くことが基本になります。

食生活のポイント

1.過食と身体活動不足に注意し、適正な体重を維持する

   エネルギ-の取り過ぎは肥満を招き、肥満は糖尿病や高血圧の誘因になるだけでなく、血液中の中性脂肪やコレステロ-ルを上昇させ動脈硬化を起こし、心筋梗塞を促進します。
 総エネルギー摂取量(kcal/日)は、一般に標準体重[(身長m)2×22)]㎏×身体活動量(軽い労作で25~30,普通の労さで30~35,重い労作で35~)とします。

2.肉の脂身、動物脂、鶏卵、果糖を含む加工食品の大量摂取を控える

   脂肪には肉類、魚類、牛乳・乳製品、卵、ラ-ド、ヘットなどに含まれている動物性脂肪と、大豆製品、植物油などに含まれている植物性脂肪とがあります。動物性脂肪(魚類の脂肪を除く)はコレステロ-ルを増加させる働きがあるので多くならないようにし、植物性脂肪と魚油の割合を多くします。特に、鶏卵、魚卵、動物の内蔵などはコレステロ-ルを多く含むので、食べる量や回数を控えるようにします。
 脂質エネルギー比率を20~25%、飽和脂肪酸エネルギー比率を4.5%以上7%未満、コレステロール摂取量を200mg/日未満に抑えましょう。

3.魚、緑黄色野菜を含めた野菜、海藻、大豆製品、未精製穀類の摂取量を増やす

 食事は、朝、昼、夕のそれぞれにいろいろな食品を使用して主食、主菜、副菜を組合せて食べるようにします。

4.脂肪の質に注意する

 n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やしましょう。
 n-3系脂肪酸には、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などがあり、α-リノレン酸は植物油が、EPAやDHAは魚介類が主な摂取源です。これらの脂肪酸は、体内で合成できない必須脂肪酸です。食事摂取基準では、現在の日本人のn-3系脂肪酸摂取量の中央値をもとに、目安量が設定されています。
 工業由来のトランス脂肪酸の摂取を控えましょう。
 マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングや、それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などに、トランス脂肪酸が含まれているものがあります。

5.糖質含有量の少ない果物を適度に摂取する

 ガイドライン1)は、数ある新鮮な果物のなかで、ミカンやオレンジなどのかんきつ類やリンゴ、キウイフルーツといったところを、動脈硬化性疾患の発症リスク低減を期待できる果物としてあげています。

6.炭水化物エネルギー比を50~60%とし、食物繊維の摂取を増やす

 食物繊維を十分に取ると動脈硬化の予防に役立つことが分かってきました。大豆、果物、野菜、いも、海藻、きのこ、こんにゃくなどには食物繊維が多く含まれています。

7.食塩の取り過ぎに注意する

   食塩の取り過ぎは高血圧の原因になります。味付けは薄味を心掛け、食塩を多く含む佃煮や魚・肉などの加工品(魚肉練製品、干物、ハム、ウインナ-、ぎょうざ、しゅうまいなど)、漬け物などは控えるようにします。食塩の摂取は6g/日未満を目標にしましょう。

8.アルコールの過剰摂取を控える

  アルコールの摂取を25g/日以下に抑ましょう。

   これらの事柄は心臓病を予防し、健康を支える基本です。自分の食生活を点検して誤っている部分は改めましょう。

参考:1)動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
                                   (更新 2023.12)