便秘の予防と食事

基本的な事柄

  近ごろ便秘症の人が増えています。便秘を訴える人は、男性より女性の方が多いですが、70歳以降の高齢になると特に男性の比率が増え性差がなくなる傾向です。便秘は朝食の欠食、無理なダイエット、加齢にともなう生理的変化が要因となります。「たかが便秘ぐらい」と軽く考えてはいませんか。

便秘の種類

 ①急性便秘
   いつもと違う出来事に遭遇したり、旅行などで環境が変化したときに一時的に起こる便秘を急性便秘と言います。生活が元に戻って原因がなくなれば自然に治ります。

 ②慢性便秘
   
健康を害するもとになる病的な便秘です。

   慢性便秘には、食物繊維不足や朝食抜き、運動不足などの日常生活が原因になる「弛緩(しかん)性便秘」とストレスや自律神経失調などが原因になる「けいれん性便秘」、大腸の腫瘍、炎症、癒(ゆ)着などが原因になる「疾患による便秘」がありますが、ここでは一般的に見られる「弛緩性便秘」について述べます。

便秘から生まれる症状

   便秘を放置すると①肩が凝る、お腹が張る、頭が重いなど体の不調を来たす。②肌荒れや吹き出物ができやすい。③高血圧、肝臓病などの生活習慣病やがんの誘因になる。などの弊害が現れます。

食生活のポイント

  1. 朝起きたらコップ一杯の水を飲む習慣を付けましょう
    水分は便を軟らかくするために必要です。冷たい水や牛乳は腸を刺激して排便を促します。
  2. 朝食をしっかり食べましょう
    朝食は、ただ単に1日3食のうちの1食ということだけではありません。体の中の老廃物や有害無益な物質を体外に排出させるという大変重要な役割を持っています。朝食後に便意を催すことが多いと思いますが、この機を逃がさないことが肝心です。
  3. 食物繊維をたくさん取りましょう
    食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。水溶性の食物繊維は果物や海藻、こんにゃくなどに多く含まれています。これらの食物繊維は便の中に溶け込み、便を軟らかくして腸内の通過をよくします。不溶性の食物繊維は、豆類、根菜類、野菜類、きのこ類などに多く含まれ、腸のぜん動を活発にして便を押し出す効果が期待できます。また、肥満や動脈硬化、糖尿病などの予防にも役立ちます。
  4. ビフィズス菌で腸の働きを活発にしましょう
    腸内細菌であるビフィズス菌は、ヨ-グルトや乳酸飲料に含まれています。このビフィズス菌 を体内で増やす働きをするのが、ごぼう、たまねぎ、にんにく、バナナ、アスパラガス、ライ麦などに多く含まれているオリゴ糖で、みそや納豆などの発酵食品も同様の働きをするといわれています。
  5. 腸を刺激する食品を活用しましょう
    果物、香辛料、酢や適度のアルコ-ル飲料、炭酸飲料などは腸を刺激して排便を促します。
  6. 朝決まった時間に排便の習慣を付けましょう
    朝、あまり慌ただしいと、便意が起きてもトイレに行かないうちに忘れてしまいます。快便を得るためには、毎日規則的にトイレタイムを持つことです。
  7. 毎日規則正しい運動をしましょう
    運動は腸の働きを活発にさせます。腹部のマッサ-ジも効果があります。
  8. 「けいれん性便秘」の食事は例外です
    ストレスや自律神経失調によるけいれん性便秘の場合は、1~7に述べた「弛緩性便秘」とは全く逆の食品選択が必要となります。食物繊維の多い食品や刺激性のある食品はむしろ避けるようにしてください。

   以上の食生活のポイントは便秘の改善に有効と思われますが、もうすでに頑固な便秘が続いている方は、医師の指示による服薬が必要な場合もあります。
                                   (更新 2023.12)