若い女性は大切な鉄分が不足しています

飽食の中の鉄分不足

   経済大国である日本は、食料事情も豊かで一見大変恵まれた食生活を営んでいますが、厚生労働省で行っている国民健康栄養調査では、血液中の血色素(ヘモグロビン)の構成成分として大切な鉄分が依然として不足しています。この鉄分が不足すると血液の酸素を体のすみずみまで供給できなくなり、貧血という現象が起こります。これを鉄欠乏性貧血といいます。

   男性に比べて若い女性(30歳未満)の貧血が意外に多く、献血不適格者が男性約2パ-セントに対し、女性は約30パ-セントと多く、大きな問題となっています。

   鉄欠乏性貧血が多くなった理由としては、女性は月経による血液の損失に加え、男女ともに食生活の洋風化や食事内容の簡素化、偏食、朝食の欠食などにより鉄分の摂取量が減少し、そのほかの栄養素とのアンバランスを招いていることが考えられます。

女性は多くの鉄分が必要

   若い女性はやがて結婚し、妊娠、出産という女性特有の大切な時期があります。

   妊娠の場合を例にとると、母体の諸組織の肥大と胎児に必要な鉄分の補給などにより造血機能が活発になります。妊娠末期には非妊時と比べ血液量が20~30パ-セント程度増加するので、貯蔵鉄は消費され、妊娠月数が進むにしたがい貧血の頻度が高くなります。

   2016年(平成28年)の国民健康栄養調査の鉄1日の摂取量の平均値は20~39歳の男性で7.2~7.3ミリグラム、女性で6.5~6.7ミリグラムでした。食事摂取基準(2015年)の鉄の1日の推奨量は成人男性7.0ミリグラム、成人女性10.5~11.0ミリグラム(月経あり)、妊娠前期では8.5~9.0ミリグラム、妊娠後期では21~21.5ミリグラム、授乳期では8.5~9.0ミリグラムと女性は男性より多くの量が必要です。

貧血を予防するための食事

   貧血を予防するうえで大切な鉄分の効率的な摂取は、毎日一定量(必要量)が不足しないようにいろいろな食品から摂取することが基本となります。
   また、鉄分のほかに造血に必要な栄養素として良質のたんぱく質やビタミンB、 B12、葉酸、銅などのほか、鉄の吸収をよくするビタミンCなどを十分に摂取することが貧血を予防したり、改善するうえで必要になります。 そのためには、日ごろから偏食や欠食をさけ、食事は主食・主菜・副菜・汁物などをそろえ、一日30食品を目標にいろいろな食品を組み合わせて、栄養のバランスの良い食事を取るように心掛けましょう。

   誤った健康観による無茶な食事制限は、必要な食品が不足する原因になります。外食は好きなものやおいしいものに偏りやすく、頻繁な外食は栄養のバランスを崩す原因になるのでほどほどにしましょう。
   また、不規則な日常生活は、朝食の欠食や食事の摂取量が不足する原因になるので、規則正しい生活と適度の運動を心掛けることが大切です。

   現代の食生活は、飽食の時代とか偏食の時代といわれています。食事の内容が欧米化され動物性たんぱく質や動物性脂肪を過剰に摂取している現状では、食事のバランスはますます乱れ、その結果、鉄欠乏性貧血はさらに増加する危険性が予測されます。この現状を慎重に受け止めて食生活の見直しに努めたいものです。