妊娠中の食事

   妊娠や出産は病気ではありませんが、女性にとっては、心身ともに著しい変化が起こり、喜びとともに責任も負担も重大です。妊娠40週の間に、お腹の赤ちゃんは約3キログラムに成長します。

   胎児の正常な発育と母体の保持のため、妊娠前に比べエネルギ-やたんぱく質、鉄分、カルシウムやビタミン類などの栄養素を多く必要とします。

   また、妊娠期間中は、貧血や便秘、下痢、肥満、高血圧などを予防することが、胎児の正常な発育を保つうえで大切です。妊娠中はもちろんですが妊娠前から食事の取り方に気をつけましょう。

食事のポイント

1.3度の食事をしっかりと

   妊娠期間中は、エネルギーやたんぱく質、各種のビタミン、カルシウム、鉄分、食物繊維などの必要量が増加します。普段から少食や過食、冷凍食品やインスタント食品、調理済み食品の頻繁な使用などを避け、手作り料理を心掛け栄養のバランスを良くしましょう。

   食事の組み合わせは、主食(ご飯、パン、めん)、主菜(魚、肉、卵、大豆製品など)、副菜(いも、野菜、海藻、きのこなどのほか果物、牛乳など)が整った食事にします。

   特に、朝食や昼食が単品料理(パンとコ-ヒ-、ラ-メンやチャ-ハンなど)だけにならないようにします。つわりが激しかったり、胃が圧迫されて、必要な量の食事が取れないときは間食の量を多くするなどの工夫をして不足しないようにしましょう。

2.食塩は控えめに

   食塩の取り過ぎは、高血圧や浮腫(むくみ)を招き、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の誘因になります。塩やしょうゆ、みそなどは控えめに使用しましょう。また、食塩を多く含む魚、肉などの加工食品や漬け物、佃煮なども控えるようにします。酢や柑橘類、香辛料、香味野菜、のり、ごまなどの風味の良い食品を利用し、薄味でもおいしく食べられる料理の工夫をしましょう。

3.下痢や便秘に注意を

   妊娠中の下痢は流産や早産の原因になります。普段から暴飲暴食を避け、新鮮な食品を使用し、十分に加熱し、調理器具は清潔を保ち下痢をしないようにします。また、便秘も大敵です。ホルモンの関係や大腸が圧迫されることなどにより、便秘しやすくなります。野菜、海藻、きのこ、こんにゃく、豆類などを多くし、主食は一定の量を食べ食物繊維が不足しないようにします。

   果物や牛乳、ヨ-グルト、カフェインや砂糖を含まない麦茶などで水分を多めに取り、規則正しい生活や排便の習慣を心掛け便秘を予防しましょう。

4.鉄分を十分に

   お腹の中の胎児は、血液を造るために必要な鉄分を胎盤を通して母体から奪っていきます。母体に貯蔵鉄が十分にないと胎児の発育にも悪影響を及ぼします。
   赤身の肉、レバ-、魚介、大豆・大豆製品、緑黄色野菜など鉄分を多く含む食品や魚、肉、卵、大豆製品など良質のたんぱく質、果物や野菜、じゃがいも、さつまいもなど鉄の吸収をよくするビタミンCを多く含む食品などを毎日の食事に組み入れましょう。ただし、ビタミンAが豊富に含まれるレバーの取り過ぎには注意しましょう。

5.カルシウムは十分に、リンは控えめに

   カルシウムは胎児の骨や歯の生育のため多く必要となります。牛乳や乳製品、小魚、海藻、緑黄色野菜などを十分に取りましょう。リンの取り過ぎはカルシウムの吸収を悪くするため、妊娠中は即席麺やスナック菓子、清涼飲料、ハム、ソ-セ-ジなどを控えるようにします。

6.肥満とやせ過ぎに注意を

   妊娠前から出産までの体重の増加は10キログラム程度です。菓子類や清涼飲料、油などの取り過ぎは肥満の原因になります。定期的に体重を測定し、太り過ぎややせ過ぎに注意しましょう。
 また、やせ過ぎの女性から低出生体重児(2500g未満)の出産が増加しています。低体重児には成長発育にともない行動障害や学習障害、生活習慣病などの発症のリスクが示されています。

7.禁煙と節酒を

   男性の喫煙は減少傾向を見せていますが、女性の喫煙は増加しています。喫煙やアルコ-ル飲料の取り過ぎは、胎児の発育に悪影響を及ぼします。禁煙、節酒をして母子ともに健康で、元気な赤ちゃんの誕生を望みたいものです。

8.食べ過ぎに注意したり、避けた方がよい食品

〇 食物連鎖の関係で自然界にある水銀が取り込まれている場合があり、食べる量を週1回、1切れ程度までとしたい魚介類、鯨類
   キンメダイ、ツチクジラ、クロマグロ(本マグロ)、メバチマグロ、エッチュウバイガイ、マッコウクジラなど

〇 リステリア菌による食中毒防止のため、避けた方がよい食品
   ナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモンなど