家庭における食中毒の予防対策

食中毒の種類

   食中毒とは食べ物を摂取することによって起こる中毒をいい、細菌やウイルス、自然毒(ふぐ毒、毒きのこなど)、化学物質(エタノ-ルなど)などが原因になります。なかでも細菌とウイルスが原因となる食中毒は、発生件数や患者数の9割以上を占めています。

初夏から初秋に多い食中毒

   例年、食中毒の発生件数の半数以上は初夏から初秋にかけて発生し、8、9月がピ-クになります。高温で細菌の増殖が盛んであること、冷たいものがおいしく感じられる時期で加熱せずに食べる機会が多いこと、暑さで体調をくずし抵抗力が衰えがちなことなどが食中毒の増加に影響しています。

   近年、発生件数が増加しているカンピロバクター食中毒は代表的な細菌性食中毒です。主な原因食品は、生や加熱不十分な鶏肉や牛レバーです。

   発生件数は減少していますが、卵が原因食品となることが多いサルモネラ食中毒にも気を付けなければなりません。

秋から冬に多い食中毒

   秋から冬にかけては、ノロウイルスによる食中毒が発生します。ノロウイルスは、カキなどの2枚貝や刺身などの海産物を原因食品とすることが多く、近年は、ノロウイルスによる食中毒は、発生件数は2位ですが、患者数は全食中毒患者数の半分以上を占めています。これはウィルスの感染力が強いために起こる現象です。

食中毒の原因と予防

   通常の細菌による食中毒は、数10万から100万個の細菌が付着した食べ物を食べなければ感染しないといわれていますが、腸管出血性大腸菌(O-157)やサルモネラ・エンテリティディス(主として鶏卵から感染)などは、通常の細菌に比べ約1万倍という強い感染力を持っているため、百個程度の菌が付着した食べ物を食べても食中毒を起こさせ、症状も重篤になる場合があります。

   腸管出血性大腸菌やノロウイルスは、菌やウイルスの付着した食べ物を食べるだけでなく、患者の糞便や吐ぶつ、調理器具、手指などを介して二次感染を起こすことも明らかになっています。
   しかし、食中毒を起こす細菌は、消毒用アルコ-ルや逆性せっけん、薬用せっけん、次亜塩素酸ナトリウム(ピュ-ラックス、キッチンハイタ-など)などで消毒するほか、中心部まで75度の温度で1分以上加熱することにより死滅できるといわれています。

   腸管出血性の食中毒を予防するためには、生肉を使った料理を避けることや、焼肉やバーベキューなどは、肉の中心部まで十分に加熱することが必要です。特に、幼児や高齢者など抵抗力の弱い方は、重症化することがあるので、加熱不十分な肉料理を食べないようにしましょう。

   ノロウイルスは、次亜塩素酸ナトリウムで消毒するほか、中心部まで85~90度の温度で90秒以上加熱することにより死滅できるといわれています。食品の中心部までしっかり加熱することが大切です。

   貝類は十分に加熱し、カキを生食する場合は、必ず生食用を使用しましょう。

食中毒予防の3原則

   食中毒を予防するうえで、調理にあたっては清潔・迅速・加熱または冷却を心掛けます。これは、食中毒を予防するうえでの3原則といわれています。

1. 清潔(細菌による汚染を防ぐ⇒菌を付けない)

   調理や食事の際は手をよく洗い、生の魚や貝類、肉、卵などに触れた後は、手を洗ってから次の調理に移るようにします。包丁やまな板などの調理器具は洗剤を使用してよく洗い、清潔にします。特に、魚や貝類、肉などを切った包丁やまな板などは、その都度よく洗いましょう。熱湯をかけてから使用するとより安全です。生で食べる野菜や果物は中性洗剤を使って洗い、すすぎ洗いを十分にします。買い物の際、魚や肉はビニ-ル袋やラップで包装し、ほかの食品に触れたり、冷蔵庫の中で汁が流れ出てほかの食品が汚染されないようにしましょう。

2. 迅速(速やかに調理し、速やかに食べる⇒菌を増やさない)

   魚や肉は調理する直前まで冷蔵庫に保管し、魚や貝類は流水で洗ってから調理します。食品は新鮮なうちに調理し、料理は作ったら直ぐに食べるようにします。調理済みの食品や弁当などは、買ったら直ぐに食べましょう。

3. 加熱または冷却(細菌を死滅させ、または冷却して菌の増殖を防ぐ⇒菌を殺す)

   調理に当たっては、材料の中心部まで熱が通るよう十分に加熱します。特に、挽き肉や卵を使用した料理は生焼けや半熟に注意し、肉の生食は避けましょう。

   残った料理や材料はラップなどをして速やかに冷蔵庫に保管します。
   細菌の多くは冷蔵庫内では、増殖しませんが、低温菌といわれる一部の細菌は増殖します。夏の時期は冷蔵庫の利用が増加し、多く詰め込んだり、ドアを開ける機会が増加し、冷蔵庫内の温度が高くなりやすいので過信は禁物です。時間が経ち過ぎたら、思い切って捨てましょう。少しでも怪しいと思ったら、食べずに捨て、口に入れるのは止めましょう。

   庫内は清掃や消毒を心掛け、いつも一定の温度に保たれているかどうか注意し、食品は衛生的に保存しましょう。