幼児期の食事と健康

基本的な事柄

幼児期は乳児期についで身体の発育が盛んで、この時期の栄養の良否は、成長・発育に大きく影響します。エネルギ-の取り過ぎや運動不足は幼児肥満に、長期にわたる不足は低身長や低体重などの原因になります。幼児期の食事は、離乳完了後のまだ限定された食品や軟らかい薄味の調理形態から、次第に食品の種類や硬さを増して、大人と同じようなものが食べられようにするためのものです。

このころは、味覚や嗜好の形成と咀嚼能力を身に付け、正しい食習慣を養ううえで重要な時期でもあります。この時期の食事の取り方が悪いと、好き嫌いが多くなったり、食べ物を噛(か)むことができず顎の発達が不十分になったり、わがままを助長したりします。また、このころに生活習慣の基礎がつくられます。活動的で規則正しい生活を身に付けるうえでも大切な時期です。

厚生省が、平成2年9月に策定した「健康づくりのための食生活指針(対象特性別)」では、幼児期を「食習慣の基礎づくりとしての食事」と位置付けています。

子どもが健康で健やかな人生を送るための食生活を考えてみましょう。

いろいろな食品を食卓に

飽食の時代といわれていますが、日本人はカルシウムの摂取量が不足しています。カルシウムは子どもの骨や歯の形成に必要なだけでなく、安定した情緒をはぐくむためにも大切です。牛乳や乳製品、小魚(しらす干など)、豆腐、緑黄野菜(こまつななど)、海藻類、ごまなどに豊富に含まれています。

子どもの好きなものに偏ると、どうしても肉類が多くなり動物性脂肪(飽和脂肪酸)の取り過ぎになります。魚介類、豆類などを使った和食料理も取り入れ、不飽和脂肪酸やたんぱく質を十分取るように心掛けましょう。

近年、米や麦、いもなどの摂取量が減少し、砂糖の消費量が増加していますが、清涼飲料水や菓子などからの砂糖の取り過ぎは、血液中の中性脂肪を増加させたり、むし歯の原因になったりします。また、何よりも食事がおいしく食べられなくなり、栄養のバランスが乱れやすくなります。

毎日の食事は、主食と主菜、副菜、汁物(牛乳、麦茶を含む)を柱に料理を組み合わせ、多種類の食品を取るようにします。特に、朝食や昼食は特定の食品に偏りやすいので注意が必要です。

幼児期に多くの食品を体験させることにより、偏食を防ぐことができ、心身の発達によい影響を与えます。

おいしく食べさせる工夫を

1.調理の方法

発育に合わせて少しずつ硬い食品に慣れさせることが大切ですが、子どもの口の大きさに合わせて少し小さく切ったり、咀嚼力に合った硬さに調理したりするようにします。水分の少ないものやパサパサした肉や魚などは飲み込みにくいので、片栗粉で少しトロミを付けると食べやすくなります。

また、葉菜類はお浸しやごまあえなどにすると好まれます。豆類もトマトケチャップなどを使って子どもの好きなトマト味にすると目先も変わり喜ばれます。

味付けは薄味にし、食品そのものの味を大切にします。汁物は実だくさんにし、大人の味付けよりも薄くします。旬の食品を上手に使い、健康を考えた手作りの料理を心掛けるようにしましょう。

2.食事の与え方

早寝、早起きをし朝ご飯を食べて排便をする習慣を付けましょう。また、テレビを見ながらの食事はやめましょう。子どもは、一度にいくつものことはできません。テレビを見ながらでは食べることに集中できず、何を食べているのか意識がなく、噛めない、噛まない、だらだら食べ、遊び食べなどの悪い癖が付いてしまいます。

また、まだ親の介助が必要な時期ですから、子どもだけの食事にしないで、家族そろって楽しく食べるようにしましょう。食欲や食べ方を見ることは大切なことです。

3.体を動かす遊びを

“空腹に勝るおいしさなし”といいます。空腹で食卓に向かうと、あまり好きでない食べ物もおいしく食べられます。また、体を動かさないと善玉コレステロ-ルは増えませんが、体をよく動かすことにより善玉コレステロ-ルが増え、動脈硬化の予防に役立ちます。テレビやゲームばかりをしないで、屋外で遊ぶ楽しさを大人が相手をしながら教えるようにしましょう。

三つ子の魂百まで

しつけの基本は子どもが自立できるようにすることです。両親や祖父母など子どもにかかわる大人が、子どもの手本となるようなよい姿を見せ、よい学習体験を積むことができるように努力していただきたいものです。